
29 5月 スペインの「従業員50名」基準:すべての子会社が備えるべき法的義務
当然のことながら、多くの場合、企業の成長は事業が順調である証であり、私たちはスペインにある子会社をさらに成長させるため、選択しうるさまざまな方策を常に検討すべきです。もっとも、その成長をどのように適切に組み立てるか、そしてそれに伴い得る義務にも目を向けなければなりません。というのも、スペインの法制度には、見落とされがちな規制上の転換点が存在するからです。それが「従業員50名」という基準です。
スペインで従業員が50名を超えると、性質の異なるさまざまな法的義務(労働関連、差別禁止、あるいはコンプライアンス上の義務など)が発生し、これらに違反した場合には、単なる罰金にとどまらない制裁が科されることもあります。こうした義務を踏まえ、ナバロ・ジマ法律事務所(Navarro Llima Abogados)では、責任者の皆様が事前に備え、適切に対応できるよう、それぞれの義務を簡潔にご説明いたします。
従業員50名に達する企業は、次の各点に留意する必要があります。
男女平等プランと報酬監査
従業員代表との交渉を経て策定し、労働省のREGCONシステムに公的に登録した男女平等プラン(Plan de Igualdad)を備えることが義務付けられます。また、このプランは4年ごとに見直す必要があり、性別による賃金格差が生じていないことを証明するための報酬監査の実施を伴います。
LGBTIプラン
職場におけるLGBTIの人々の平等と差別の禁止を保障するため、一連の措置(状況によっては正式なプラン)を備えることが義務付けられます。
こうした措置には、たとえば次のものが含まれます。ハラスメントへの対応プロトコル、ならびに人事部門における社内プロセスの研修および見直しです。

内部通報窓口 ― 内部情報システム
公益通報者保護に関する欧州指令 (Whistleblowing Directive) の国内法化に伴い、内部通報窓口を備えることが必須となります。これにより従業員は、不正、不祥事、その他広く倫理や企業慣行に反する行為を、秘密が保たれた形で(場合によっては匿名で)通報できるようになります。
そのため企業は担当責任者を選任しなければならず、また当該システムには、受領期限、解決期限、秘密保持措置、報復に対する保障といった事項を定める必要があります。
障がい者のための雇用割当
従業員の少なくとも2%を、障がいの程度が33%以上の者で構成することが義務付けられます。
もっとも、例外的に、かつ法令上の要件を満たすことを条件として、この割当を代替措置に置き換えることも可能です。たとえば、特別雇用センター(Centros Especiales de Empleo)からのサービス調達や、当該分野の財団への寄付などが挙げられます。
集団的代表:従業員委員会および安全衛生委員会
従業員の集団的代表は、質的に異なる段階へと移行します。
企業は、従業員委員会(Comité de Empresa)の設置を可能にする義務を負うことになります。この機関は、経営に関する決定について、情報提供・協議・交渉に関する法律上の権利を有しており、整理解雇手続、労働条件の重大な変更、さらには事業譲渡や生産体制の変更といった事項にも影響を及ぼします。
アングロサクソン系や北欧型の労働制度に慣れた子会社の経営陣にとって、この点はとりわけ注意を要します。従業員委員会は、形式的な意味での単なる諮問機関ではないからです。一定の手続においてはその関与が義務付けられており、これを欠いた場合、採択された決定が無効となるおそれがあります。

報酬台帳およびデータ保護責任者
全従業員について、性別・職種・契約形態ごとに区分したうえで、給与・諸手当・賃金外給付の平均値を反映した報酬台帳を、毎年更新して維持しなければなりません。
データ保護責任者(DPO)については、その設置義務は従業員数によって直接生じるものではなく、組織が行うデータ処理の性質および量によって決まります。従業員が50名を超えると、企業の処理の実態に照らし、スペインデータ保護庁の基準に基づいてこの役職の設置が求められるのが通常です。
子会社の経営陣へ ― 一つの考察
ご覧のとおり、十分な準備や体制整備のないまま従業員50名を超えることの主たるリスクは、本質的に累積的なものです。というのも、六つの規制上の義務に同時に直面することになるからです。さらに付け加えれば、これらの義務にはそれぞれ違反時の制裁が伴い、それらを合算すると、具体的な状況によっては優に150万ユーロを超えることもあります。
ナバロ・ジマ法律事務所(Navarro Llima Abogados)では、国際グループの子会社によるスペインでの事業拡大を、コンプライアンス監査、集団的代表体制の設計、現行法令が求めるプランおよびプロトコルの導入支援を含め、総合的にサポートしております。貴社がこの成長の節目に近づいている、あるいはすでに超えている場合は、ぜひ私たちにご相談ください。
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