会社を経営する者が自らの利益のために会社を運営しているのではないかと株主が疑う場合、行動を起こす前に、スペインにおける取締役の責任に関して三つの問題を整理する必要があります。第一に、その事実が背任罪(administración desleal)に該当するのか、それとも会社法上の義務違反にとどまるのかという点です。第二に、誰が対応する当事者適格を有するのかという点であり、その答えは損害を被ったのが誰かによって大きく左右されます。第三に、刑事と商事のいずれの手続によるのか、そしてその選択が損害賠償請求にどのような影響を及ぼすのかという点です。犯罪の構成要件:取締役の義務に対する重大かつ故意の違反スペイン刑法第252条は、他人の財産を管理する権限を有する者が、その権限の行使において逸脱し、管理対象の財産に損害を与えた場合を処罰しています。最高裁判所が繰り返し述べてきたとおり(2018年最高裁判所決定第285号、ECLI:ES:TS:2018:2185A)、本罪が非難するのは、取締役と管理対象の財産とを結ぶ忠実と信頼の絆を断ち切る行為です。そのため、取締役が広範かつ撤回されていない権限を有していることは問題になりません。その権限を不誠実に行使して本人に損害を与えれば、構成要件に該当します。2015年組織法第1号以降、本罪は一般的な財産犯となり、誰もが被害者となり得るものであって、旧第295条のように会社の領域に限定されるものではなくなりました。最高裁判所の判例は、本罪を三つの要素に分解しています。法律、公的機関または法律行為に由来する、他人の財産に対する管理権限を有すること。その権限の行使において逸脱すること。財産上の損害を生じさせること。本罪の実行行為の核心は、「逸脱する」(excederse)という動詞にあります。2023年10月5日最高裁判所判決第735号(ECLI:ES:TS:2023:4012)は、第252条が廃止された旧第295条よりも包括的な表現を用いていることを指摘しています。そのため、取締役の違法性は、有する権限を不当に行使する場合に限らず、有しない権限を行使して管理対象の財産に損害を与える場合にも認められます。これにより、権限の濫用と権限の踰越の双方が含まれ、さらに同法廷の判例における定式によれば、委ねられた管理において求められる注意をもって行動しないことも含まれます。これらの場合、取締役は自らの義務に違反し、管理対象の財産の利益に反して行動していることになります。他方、損害は、必ずしも財産の実際の減少である必要はありません。保証人的地位にある者が、求められていた取引を行わなかったという不作為による逸失利益であっても足ります。商事上の違法行為との違いは何か単なる商事上の違法行為との境界を理解するには、客観的には、刑法上の構成要件がスペイン資本会社法(LSC)第236条の民事上の違法行為と非常によく似ていることを想起しておく必要があります。いずれも、役職上の義務違反に帰責される損害を要件としています。違いは主観的要素にあります。本罪は故意を必要としますが、未必の故意で足ります。経営判断原則によって保護される決定、注意義務の故意によらない違反、および過失による忠実義務違反は、損害賠償義務を妨げるものではないものの、構成要件の対象外となります。刑法学説の多数は、会社法上の違法性は必要条件ではあるが十分条件ではなく、刑事上の判断は最も重大な違反にのみ処罰を限定するふるいとして機能すると解しています。取締役が違反する義務不誠実さを特定するには、法定の義務から出発するのが有益です。LSC第225条は秩序ある事業者(ordenado empresario)としての注意を求めており、これには実際に職務を遂行すること、監視・監督すること、そして情報を収集することが含まれます。LSC第227条は、忠実な代理人としての忠実さをもって、誠実に、かつ会社の最善の利益のために職務を遂行することを求めています。同条第2項は重要な帰結を加えています。忠実義務の違反は、会社財産に生じた損害を賠償する義務だけでなく、取締役が得た不当利得を会社に返還する義務も生じさせます。LSC第228条は忠実義務に基づく基本的な義務を具体化しており、その中には次のものがあります。付与された目的以外の目的で権限を行使しないこと。取締役本人または関係者が利益相反を有する決定に参加しないこと。会社の利益と相反する状況を回避するために必要な措置を講じること。さらに、LSC第226条は経営上の裁量を保護しています。取締役が、誠実に、当該事項について個人的な利害を有することなく、十分な情報に基づき、適切な意思決定手続に従って行動した場合には、注意義務の基準は満たされたものとみなされます。ただし、この保護は、他の取締役および関係者に個人的に影響を及ぼす決定や、第230条に定める取引には及びません。したがって、不誠実さを主張する者は、まさにその個人的な利害や利益相反を探す必要があります。構成要件に該当する行為正当な理由のない会社資金の処分。最高裁判所は、取締役と個人的につながりのある会社への支払いがある場合に、対価を裏付ける書類がないことを違法性の中核的な証拠と評価してきました。2024年最高裁判所判決第1112号(ECLI:ES:TS:2024:6073)は、銀行口座間の資金移動が書類によって立証され、被告人が資金の使途を説明できない場合には、領得の意思以外に説明の余地はないと判示しています。自己取引と利益相反。役務の提供が実在する場合であっても、取締役が株主または権限ある機関の認識も承認もないまま自らに取引を発注すれば、その支払いは不誠実なものとなり得ます。2025年3月20日最高裁判所判決第449号(ECLI:ES:TS:2025:1169)は非常に示唆に富む適用例を示しており、利益相反を株主総会に開示することなく、自らのグループに属する他社との間で会社のための役務契約を締結した取締役は、それ自体で忠実義務に違反すると判示しました。開示は明示的になされなければならず、その契約において会社の利益が優先されたか否かという事後的な検討とは無関係だからです。事業機会の流用。同判決は、会社が所有するアパートメントの稼働管理を、取締役と関係があり、かつ競合関係にある会社に委託したことによる逸失利益を賠償すべき損害と認め、これを推計により算定しました。裁判所は、顧客の移転について直接の証拠はないことを認めつつも、関係会社の売上が増加する一方で、管理対象である会社の売上がこれほど大きく落ち込んだことを重視しました。株主に対する隠蔽。2024年最高裁判所判決第189号(ECLI:ES:TS:2024:1170)は、取締役が請求書を用いて工事を仮装し、株主による監視を妨げるために年次計算書類を商業登記所に寄託せず、株主総会の決議を一切得なかった事案を扱っています。こうした隠蔽行為は、違法性の認識を示すものであるため、嫌疑を強める方向に働きます。横領罪との境界刑法第252条と第253条とを区別する決定的な基準は、「後戻りできない地点」です。処分が濫用的であっても、資金を戻す意図をもってなされた場合には、その意図が後に挫折したとしても背任罪が成立します。これに対し、処分が確定的であり、自己または第三者の財産に組み入れられた場合には横領罪(apropiación indebida)が成立します(2016年最高裁判所判決第700号、ECLI:ES:TS:2016:3975、および同第962号、ECLI:ES:TS:2016:5825)。現在では法定刑が同等とされていることから、2024年最高裁判所判決第1112号(ECLI:ES:TS:2024:6073)は、択一関係の原則はその実際上の意義を失い、両罪は同心円のような関係にあると述べています。2022年最高裁判所判決第117号(ECLI:ES:TS:2022:435)は、資金を補填できると信じて流用したとしても故意は否定されず、個人的な利得の立証も必要ないと付け加えています。2024年最高裁判所判決第768号(ECLI:ES:TS:2024:4354)は、資金の最終的な行き先が不明であっても構成要件該当性は失われないことを確認しています。注意:それだけでは足りないこと2025年11月12日バルセロナ第2商事裁判所判決第240号(ECLI:ES:JM:2025:205)は、経営成績がマイナスであることはそれ自体違法ではなく、第三者の倒産といった外部要因に帰することのできない、取締役の具体的な行為を立証しなければならないと指摘しています。被告側が提出した一致する二つの鑑定意見は、損失の原因を子会社の倒産に求め、会計上の誤りを形式的なものと評価しました。原告は自らの鑑定意見も市場比較による証拠も提出しませんでした。同判決はさらに、多数派が経営を繰り返し承認していても訴えの途が閉ざされるわけではないものの、訴訟を提起する側により重い立証責任が課されると付け加えています。誰が、どの手続で対応できるのか鍵となるのは、誰が損害を被ったかです。会社が損害を被った場合、訴権を有するのは会社自身であり、少数株主には例外的な当事者適格が認められます。株主または第三者が直接損害を被った場合には、その者自身の訴権があります。第一の手続:財産の帰属主体としての会社(刑事手続と会社による責任追及訴訟)2023年10月25日バレアレス諸島県裁判所(第2部)判決第485号(ECLI:ES:APIB:2023:2877)は、保護法益の帰属主体である「被害者」(ofendido)と、その主体ではないものの損害を被る「被害関係者」(perjudicado)とを区別しています。その経済的な意味では株主が会社財産の最終的な帰属主体であるとしても、法的には管理対象の財産の唯一の帰属主体は会社であり、取締役は株主の財産を管理しているわけではありません。したがって、刑事訴訟法(LECrim)第109条、第109条の2および第281条、ならびに犯罪被害者の地位に関する2015年法律第4号第2条における被害者と間接的な被害を受けた第三者との区別に照らし、株主は本罪の被害者ではなく、私人訴追者(acusación particular)としての当事者適格も有しません。商事手続においては、会社による責任追及訴訟(acción social)には、違法な行為、現実の損害および因果関係が必要であり、立証責任は原告が負います(民事訴訟法(LEC)第217条)。賠償金は株主ではなく会社に支払われます。LSC第236条第3項は、責任を事実上の取締役にも拡張しています。第二の手続:株主または第三者による個別責任追及訴訟LSC第236条第1項は、取締役が会社、株主および債権者に対して責任を負うことを定め、LSC第241条は、取締役の行為によって直接その利益を害された株主および第三者の損害賠償請求権を留保しています。学説は、最高裁判所の判例に従い、これを機関としての違法行為であり、会社法の枠組みに組み込まれた独自の規律をもつ不法行為責任であると説明しています。その要件は次のとおりです。株主または債権者の財産に対する直接の侵害からなる損害であること。したがって、会社の単なる支払不能、債権の不払い、または事業の事実上の閉鎖だけでは足りません。過失または故意による作為または不作為であること。法律または定款に反する行為が必ずしも必要なわけではなく、秩序ある事業者および忠実な代理人としての注意を怠れば足ります。行為と損害との間に因果関係があること。会社が被った損害の単なる反射ではない、直接の損害であること。この第四の要件こそが、会社財産の回復を目的とする会社による責任追及訴訟と、株主または第三者の財産に生じた損害を填補する個別責任追及訴訟とを区別するものです。ここから、その主な手続上の利点が導かれます。個別責任追及訴訟は、その提起、進行または結果のいずれにおいても会社の関与を一切必要とせず、当事者適格は株主でない者を含め、あらゆる者に認められます。したがって、株主総会の決議も資本要件も必要ありません。責任は、決議を採択し、または行為を行った機関の構成員の間で連帯責任となります。LSC第237条によれば、免責されるのは、関与しなかったこと、当該行為の存在を知らなかったこと、または損害を回避するために適切な措置を尽くしたか明示的に反対したことを証明した者に限られます。株主は、この限界について現実的であるべきです。背任行為の大半の事例では、損害は会社財産に生じ、持分の価値には反射的に影響するにすぎず、その場合の手続は会社による責任追及訴訟となります。判例は、会社の独立した法人格や契約の相対効に反しないよう、あらゆる義務違反について個別責任追及訴訟を無差別に適用すべきではないと強調しています。会社の契約不履行は、それ自体では取締役の責任を生じさせません。第三の手続:補完的な会社法上の訴えLSC第232条は、責任追及訴訟の提起が、取締役が忠実義務に違反して締結した行為および契約について、異議、差止め、効果の除去、および必要に応じて取消しを求める訴えの提起を妨げるものではないことを明らかにしています。これに加えて、LSC第227条第2項に基づく不当利得の返還も求めることができます。これらを損害賠償請求と組み合わせることで、有害な契約を争い、当該行為を止め、取締役が得た利益を回収することが可能になります。実務上の留意点会社による責任追及訴訟の時効期間は、提起が可能となった時から4年です(LSC第241条の2)。合議制機関の構成員間の連帯責任はLSC第237条によるものであり、刑法第116条第2項に定める従犯者の補充的責任によるものではありません。支配持分の譲渡に際して締結される権利放棄の合意は、会社による責任追及訴訟を実質的に空洞化させることがあります。こうした合意は有効であり、全株主が署名した場合には、会社による放棄と同視され得ます(LSC第238条第2項)。もっとも、2018年最高裁判所判決第316号(ECLI:ES:TS:2018:2498)は、告訴人である会社が放棄した株主とは別個の財産と利益を有していたことから、そのようには解しませんでした。何が、誰との間で合意されたのかを常に確認し、放棄が刑事告訴にまで及ぶと安易に考えないことが重要です。以上の分析は三つの点に集約されます。第一に、成功するかどうかは、取引に正当な理由や会社の利益がなかったこと、そして単なる経営上の誤りではなく故意があったことを立証できるかにかかっています。第二に、利益相反を株主総会に開示しないことは、それ自体で忠実義務違反となります。第三に、どの手続によるかは誰が損害を被ったかによって決まります。会社が損害を被った場合には少数株主がその名において行動する当事者適格を有し、株主または第三者が直接損害を被った場合には、株主総会を必要とせず、自らの個別責任追及訴訟を提起できます。スペインの会社の株主であり、取締役が背任罪を犯した、あるいは法定の義務に違反した可能性があるとお考えの場合には、行われた取引を分析し、入手可能な証拠を評価し、ご自身の利益を守るために最も適切な手段を見極めることが不可欠です。ご相談内容を検討し、専門的な法的助言をご提供いたしますので、info@navarrollimaabogados.com 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株主間契約を締結することで、放置すれば会社の運営に支障をきたしかねない問題をあらかじめ想定し、備えておくことができます。株主間紛争に関する前回の記事では、明確なルールがないと、意見の対立が生じた後にその解決がいかに難しくなるかをご説明しました。会社を設立する時点では、株主は通常、目標を共有し、事業について共通のビジョンを持っています。しかし、状況は変わり得るものです。たとえば、一方の株主は利益を再投資したいと考え、もう一方は分配を望むことがあります。また、一方が多くの責任を担うようになる一方で、もう一方が徐々に関与を減らしていくこともあります。こうした状況は、必ずしも株主間の関係が悪化していることを意味するわけではありません。しかし、その解決方法を事前に取り決めないまま対処しなければならない場合には、問題が生じます。 株主間契約で何を定めることができるか 役割、関与の程度および報酬 多くの会社では、株主は資本を拠出するだけでなく、自ら事業に従事しています。たとえば、2名の株主がそれぞれ50%ずつ出資して会社を設立し、当初の数年間は同様の条件で業務に携わっていたとします。やがて一方が責任の大部分を担うようになり、もう一方は関与を減らしていきますが、両者の持分比率は変わらないままです。事前のルールがなければ、報酬、利益の分配、あるいは経営上の判断をめぐって意見の相違が生じるおそれがあります。これを防ぐため、株主間契約では、各株主の役割と関与の程度を定め、労務に対する報酬と配当とを区別し、利益を分配するか再投資するかの基準を設けることができます。また、合意した義務に違反した場合の効果を定めておくことも可能です。これにより、業務負担をめぐる意見の相違が、会社の所有や支配をめぐる紛争へと発展することを防ぐことができます。 デッドロック解消の仕組み:株主間で合意に至らない場合 ここでも、2名の株主がそれぞれ50%を保有する会社を例に考えてみましょう。一方は利益を再投資して事業を拡大すべき時期が来たと考え、もう一方は利益の分配を望んでいます。何度協議を重ねてもどちらも譲らず、その対立が他の重要な意思決定にまで波及すれば、会社は機能不全に陥りかねません。こうした事態に備え、株主間契約では、一定の投資、新たな株主の加入、重要な資産の売却など、特別の合意を要する事項を定めることができます。また、対立を解消するための手続として、一定期間内での協議、調停、さらには独立した専門家の関与などを定めることもできます。それでも膠着状態が続く場合に備えて、持分の買取りまたは売却の仕組みや、事業の継続を可能にするその他の解決策を定めておくことができます。これらの条項では、手続がどのように開始されるのかを具体的に定める必要があります。株主が誠実に協議する旨を定めるだけでは不十分です。あわせて、適用される期限や、合意に至らなかった場合にどうなるのかも定めておかなければなりません。また、全員一致を要する事項を多くしすぎないことも重要です。当初は保護策として設けたものが、会社の通常の経営の妨げとなるおそれがあるためです。株主の離脱:事業から抜けたい株主がいる場合 創業株主の離脱は、特にその株主が代替の難しい役割を担っている場合、事業の継続に影響を及ぼすおそれがあります。後任の手配に加え、その株主の持分をどう扱うかも決める必要があります。グッドリーバー条項およびバッドリーバー条項を設けることで、離脱の理由を区別し、それぞれに異なる効果を定めることができます。グッドリーバーとは、株主間契約が正当とみなす事由によって離脱する株主をいいます。一方、バッドリーバーとは、在籍義務その他の定められた条件に違反して離脱する株主などをいいます。これらの区分は、株主間契約の中で具体的に定める必要があります。スペイン法には、あらゆる会社に自動的に適用される統一的な制度は存在しないためです。株主間契約では、誰が持分を取得できるのか、その価格をどのように算定するのか、評価額について争いがある場合にどうするのか、そしてどの期間内に譲渡を行うのかを定めることができます。離脱が生じる前に備えておくことで、不確実性が軽減され、株主構成が変わっても会社が事業を継続しやすくなります。これらの仕組みについては、当事務所のこちらの記事で詳しくご紹介しています。 持分の譲渡:誰が会社に加わることができるか 問題が、誰が会社に加入できるかという点にある場合もあります。たとえば、ある株主が自らの持分について買取りの申出を受け、第三者に売却したいと考える一方で、他の株主は競合他社の参入を避けたい、あるいは自らその持分を取得する機会を得たいと考えることがあります。株主間契約では、優先買取権その他の譲渡に関する取決めによって、こうした状況に対応することができます。また、会社全体の買収を希望する買い手が現れたものの、株主の一人が売却を望まないというケースも考えられます。このような場合には、次の二つの仕組みが有効です。タグ・アロング権(共同売却権)とは、ある株主が他の株主による売却に加わり、自らの持分も買い手に譲渡することを可能にする権利です。 ドラッグ・アロング権(強制売却権)とは、他の株主にも持分の売却を求め、一括での売却を実現することを可能にする権利です。これらの仕組みが機能するためには、行使の条件、必要な持分割合、価格および期限を定めておく必要があります。条項を正確に作成しておくことで、個々の持分譲渡が重要な取引を妨げたり、株主が想定外の立場に置かれたりする事態を防ぐことができます。 株主間契約と定款:なぜ両者の整合が必要なのか スペイン会社法上、株主間契約を締結したからといって、そのすべての条項が当然に会社に対抗できるわけではありません。スペイン資本会社法第29条(Ley de Sociedades de Capital)は、株主間で非公開とされた合意は会社に対抗できないと定めています。そのため、契約の当事者が負う義務と、求める効果に照らして適切な場合には定款にも盛り込むべきルールとを区別する必要があります。両者をあわせて検討することで、矛盾を避け、各条項が本来の目的に沿っているかを確認することができます。株主間契約と定款の関係については、こちらの記事(英語)で詳しくご説明しています。 各社の実情に応じた助言 あらゆる会社に通用する株主間契約のひな形は存在しません。創業者2名がそれぞれ50%を保有する会社と、同族会社や投資家を受け入れる会社とでは、必要とされる内容が異なります。契約書を作成する前に、会社の組織体制、各株主の期待、そして将来的に問題となり得る意思決定について分析しておくことが望ましいといえます。ナバロ・ジマ法律事務所は、20年を超える経験を有し、企業における株主間の関係の整備や、株主間紛争の予防と解決について助言を行ってまいりました。既存の株主間契約の見直しや、貴社におけるこうしたルールの導入をご検討の際は、info@navarrollimaabogados.com までお気軽にお問い合わせください。...

スペインの株主間紛争は、一般に考えられているよりもはるかに頻繁に生じており、経営危機にある企業に限らず、順調に業績を上げ、売上を伸ばし、成長している会社においても発生します。その大半は、家族、友人、あるいは同業者同士が信頼関係を基盤として設立した会社で、その信頼が崩れた場合にどうなるかを想定していなかったケースです。意見の対立が生じると、明確なルールの欠如や感情的な確執によって、経営上の単なる意見の相違が、法的・経済的な問題、さらには多くの場合、個人的な問題へと発展し、会社の事業活動を麻痺させ、企業価値を損ない、株主自身の財産までも危険にさらすことになりかねません。だからこそ、どのように対処するか、そしていつ対処するかが決定的に重要となります。紛争の原因は多岐にわたりますが、実務上は一定のパターンが繰り返される傾向にあります。事業への関与度の違い、利益配分や報酬、経営戦略に関する考え方の相違、情報不足、個人的な事情の変化などです。これらの要因は、それ自体が問題なのではありません。問題となるのは、それらを解決するための仕組みがあらかじめ用意されていない場合です。 助言は紛争が起こる前から始まります 株主間紛争を解決する最善の方法は、あらかじめそれを想定しておくことです。そのため、当事務所の助言は紛争が生じる前から始まります。最も有効な予防策は株主間契約です。株主間契約によって、当事者とその利益に応じて、対立が生じた際に法律や定款では解決できない事項を定めておくことができます。この点については来週の記事で、よくある問題と、株主間契約がそれらをどのように予防・解決するかをご紹介します。すでに紛争が生じている場合 紛争がすでに生じている場合、当事務所がまず行うのは、これまでの経緯をすべてお聞きすることです。会社はどのように設立されたのか? 株主間の関係はどのように変化してきたのか? 何が変わったのか? 現在はどのような状況にあるのか?あわせて、紛争の解決に関わる会社関係書類の分析を行います。定款や意思決定を記録した議事録など、どの紛争においても検討が欠かせない書類もあれば、紛争の種類によってのみ必要となる書類もあります。例えば、株主が会社の資金を個人的な事業や並行して営む別の事業に流用している疑いがある紛争では、会計書類の確認が必要となります。こうして、依頼者の真の利益を把握することができます。それは、単に会社から離脱することや当初の出資を回収することから、次のようなより戦略的な目的にまで及びます。経営の主導権を取り戻すこと。 会社の利益に反して行動する取締役を退任させること。 事業の継続を確保すること。双方の真の目的を把握する 株主間紛争においては、多くの場合、信頼関係の破綻が生じており、その結果、各当事者の本当の利益や目的が、恨みや確執によって隠れてしまったり、見えにくくなったりしていることが少なくありません。しかし当事務所にとっては、依頼者(そして相手方)の目的を明確にすることが非常に重要です。それによって適切な戦略を立てることができ、法的には可能であっても、依頼者が本当に必要としているものに近づかない手段を取ることを避けられるからです。加えて、別の記事で取り上げたスペインの裁判所の滞留問題も忘れてはなりません。そのため、当事務所は常に裁判所に訴える前に紛争の解決を図ることを心がけ、まずはすべての関係者との交渉から始めます。私たちの目標は、単なる意向表明にとどまらない合意を実現することです。合意を書面化します(和解契約、持分の売買、または退出に関する取決めなど)。 相手方と交渉します。 最後まで実行します(登記手続や、取引から生じうる税務上の義務への対応を含みます)。交渉がまとまらない場合 交渉がまとまらない場合には、訴訟という手段が残されており、当事務所は同じ決意をもってこれに臨みます。当事務所は会社法・商事分野の訴訟における豊富な経験を有しています。会社の決議の取消訴訟およびその効力停止の仮処分申立て、取締役に対する責任追及訴訟、株主の離脱権の行使と持分の価値の請求、さらには会社の機関が機能不全に陥り運営が不可能となった場合の裁判所による解散請求などです。 当事務所の経験 サラゴサを拠点とするナバロ・ジマ法律事務所は、スペインの株主間紛争に総合的な助言をもって取り組んでいます。会社設立時の株主間契約や定款の設計から、交渉、株主の離脱、そして必要に応じて訴訟手続に至るまで対応いたします。当事務所は、問題を分析するだけにとどまりません。法的な厳密さ、交渉力、そして法廷での経験を兼ね備え、退出合意の成立、出資の回収、あるいは株主としての権利の擁護など、依頼者が目的を達成するまで、プロセス全体を通じて依頼者に寄り添います。...

以前の投稿において、当事務所では株主間契約、とりわけパートナーシップ契約およびファミリー契約について解説しました。これらの契約において最も重要な要素の一つが、株主の退出に関する規定です。特にスタートアップのエコシステムでは、創業者、投資家、主要従業員が共存しており、当初は一致している利害関係が将来的に対立する可能性があります。 実務上、多くのプロジェクトは製品や市場の問題ではなく、不十分な会社設計に起因する内部紛争によって失敗しています。このような文脈において、ドラッグ・アロング条項、タグ・アロング条項、グッドリーバー条項、バッドリーバー条項は特に重要な役割を果たします。これらは、適切に設計されていれば、行き詰まりや株主間紛争、重要局面での企業価値の毀損を防ぐ保護メカニズムです。1. ドラッグ・アロング条項およびタグ・アロング条項:株主の集団的退出 ドラッグ・アロング条項 「引きずり(drag)」を意味し、多数株主を保護するための仕組みです。会社の買収提案があった場合、一定割合以上の株式を保有する株主が、他の株主に対して同一条件で株式を売却することを強制できる条項です。これにより、少数株主が取引を阻止することを防ぎます。 この場合、全株主が会社全体を譲渡する義務を負うため、買主にとって取引が容易になり、企業価値の最大化につながります。 実務上は、最低持株比率の設定、売却価格の算定方法、売却株主と直接・間接に関連する者を買主から除外することなどを検討する必要があります。タグ・アロング条項 ドラッグ・アロングとは異なり、タグ・アロング条項は売却を強制するものではなく、多数株主が第三者へ持分を譲渡する際に、少数株主が同一条件で売却に参加する権利を認めるものです。これにより、少数株主が望まない新たな株主と会社に取り残されることを防ぎます。 実務上は、売買条件の開示や、買主が当初提示された株式数以上を取得しない場合の按分方法などを定める必要があります。 従来、これらの条項は主に株主間契約に規定され、定款への組み込みについては議論がありました。しかし現在では、適切な起草と構成により、定款に含めることも可能とされています。例えば、2016年5月20日付スペイン登記・公証総局決議は、一定の構成を有するタグ・アロング条項の登記可能性を認めています。事例 スタートアップXYZの株主構成は以下のとおりです。株主A:40%株主B:55%株主C:5%ドラッグ・アロングの場合:投資グループが会社の100%取得を提案。AとBは売却に同意するが、Cは反対。この場合、AとBはドラッグ・アロング権を行使し、Cに同一条件での売却を強制できます。タグ・アロングの場合:別のケースとして、Aが引退のため第三者へ持分を売却する場合、Cはタグ・アロング権を行使し、当初は退出の意思がなくても、Aとともに合計45%を売却できます。2. グッドリーバー条項およびバッドリーバー条項 M&A取引に伴う退出とは別に、スタートアップでは創業者や従業員株主などの主要株主の退出理由に応じた規律も重要です。グッドリーバー条項およびバッドリーバー条項は、退出そのものだけでなく、株式譲渡価格も定めます。 グッドリーバー 定年、障害、死亡、不当解雇、または合意された最低在籍期間の満了など、正当な理由により退社する株主を指します。この場合、誠実に行動したと評価され、市場価格または有利な条件で株式を譲渡する権利が認められます。 バッドリーバー これに対し、正当解雇、定款や株主間契約の重大違反、不誠実行為など、会社に不利益を与える理由で退出する株主を指します。この場合、額面価格や大幅な割引価格での譲渡など、ペナルティが課されるのが一般的です。したがって、各事業の実情に応じた詳細かつ明確な定義が不可欠です。曖昧な規定は株式評価をめぐる重大な紛争を引き起こす可能性があります。また、株主間契約と定款の不整合や、定期的な見直しの欠如も同様の問題を招きます。これらの条項は、会社設立時または初期段階で定めることを推奨します。ドラッグ・アロング、タグ・アロング、グッドリーバー、バッドリーバー条項は単なる形式的規定ではなく、投資誘致能力、将来の売却可能性、そしてスタートアップの安定性を左右する重要な戦略的ツールです。スタートアップの設立、投資家の受け入れ、または会社構造の見直しをご検討の際は、専門的な法的アドバイスを受けることが、企業価値の保護と成長の確保につながります。Navarro Llima Abogadosは20年以上にわたり、クライアント企業に法的安定性の枠組みを提供してまいりました。ぜひ info@navarrollimaabogados.com までご連絡ください。...