
19 6月 スペインの商事委託契約 ― 基本原則
スペインの商取引においては、事業者が第三者に対し、自己の計算において特定の商行為を実行するよう依頼することが一般的です。このような関係を法的に構成するために用いられる契約形態の一つが商事委託契約(スペイン商法典第244条以下に規定)です。
その目的は、直接的には、一方当事者の依頼に基づき、対価(手数料)と引き換えに、他方当事者のために一または複数の商行為もしくは取引を実行することです。受託者(comisionista)は、委託者(comitente)の計算において一または複数の商事行為を実行または仲介する任務を引き受けます。
スペイン法上、商事委託契約が成立するのはどのような場合か
スペイン法上、商事委託契約は無方式の諾成契約です。その承諾は明示的にも黙示的にも行うことができます。黙示の承諾は、受託者が委託者の指示を遂行するための行為に着手した時点で成立します。
正確な法的定義はスペイン商法典第244条が定めており、同条は以下の二つの基本的要件を満たす委任を商事委託として定義しています。
- 目的が商行為または商取引であること。
- 委託者または受託者が商人または商事仲介業者であること。
受託者は常に委託者の計算において行動し、自己の名において行動するか、委託者の名において行動するかの二つの方法のいずれかを選択することができます。

自己の名において行動する場合、受託者は第三者と直接契約を締結し、原則として、当該第三者と委託者との間には直接の法律関係は生じません。一方、委託者の名において行動する場合、契約から生じる権利義務は委託者に直接帰属し、委託者が第三者に対して拘束されることになります。
この区別は重要です。なぜなら、第三者に対して正式に義務を負うのが誰か、また取引から生じる請求や訴えを誰に対して提起できるかが、この区別によって決まるからです。
商事委託契約は、契約一般に適用される事由によって終了することがあります。主な事由には以下のものがあります。
- 委託事務の完了。
- 合意された期間の満了。
- 当事者間の合意。
- 履行の後発的不能。
また、契約が信頼関係に基づくものであることから、委託者による一方的な解除によっても終了します。この場合、解除はその旨が受託者に到達した時に初めて効力を生じます。もっとも、委託者が権限を濫用して契約を解除した場合には、それによって生じる経済的損害について委託者が責任を負うことがあります。
他の類似制度との区別
商事委託契約は、商取引の促進・仲介・締結を目的として用いられる他の制度、例えば民事委任契約、商事代理店契約、仲介・媒介契約、役務提供契約などと混同しないことが重要です。
第一に、民事委任との関係について言えば、商事委託においては委託された法律行為が常に商事性を有し、事業取引と結びついている点が、民事委任とは異なります。
第二に、商事代理店契約との主な相違点は、関係の継続性および期間にあります。商事委託が通常は特定の取引または一定の任務を対象とするのに対し、商事代理店契約は一般的に安定した継続的な協力関係を前提とします。
第三に、仲介・媒介契約との区別も重要です。仲介人は原則として、契約の締結を促進するために当事者双方を近づけることを役割とし、双方に対して独立した立場を保ちます。これに対し、受託者は委託者の利益のために行動し、委託された取引の締結および実行に直接関与することができます。
最後に、役務提供契約においては主たる目的が特定の活動の実施であるのに対し、商事委託はすでに述べたとおり他人の計算において法律行為または取引を行うことを目的とし、報酬は通常、管理された取引または達成された結果と結びついています。

商事委託における各当事者の義務とは
以上のとおり、受託者は(下位委託の場合を除き)委託された業務を自ら実行しなければなりません。そのため、その業界の専門家に求められる注意義務をもって業務を遂行しなければならず、主な義務として以下のものがあります。
- 委託者の指示を遵守すること。
- 取引の進捗および結果について委託者に報告すること。
- 委託業務の成功に影響しうる重要な事情を通知すること。
- 業務の遂行状況を明らかにし、支出した費用を証明すること。
- 受領した物品、商品または資金を適切に保管すること。
- 委託業務の不履行または過失ある履行によって生じた損害について責任を負うこと。
また、自己の利益のために委託業務と相容れない行為を行うこと、無断で信用取引を行うこと、または混同を生じさせるおそれがある場合に異なる所有者の商品を混在させることは禁じられます。
一方、委託者にも固有の義務があります。主な義務は以下のとおりです。
- 合意した手数料を支払うこと。
- 必要かつ適切に証明された費用を弁済すること。
- 取引の実行に必要な資金をあらかじめ提供すること。
- 受託者が委託の範囲内で有効に締結した取引の効果を引き受けること。
委託契約を適切に規定することの重要性
委託契約を適切に作成することで、当事者双方の権利義務を明確に定め、リスクを最小化し、将来の紛争を防止することができます。これにより、商取引上の法的安定性が高まります。
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