ナバロ・ジマ法律事務所が助言するスペイン子会社の事業再生計画

スペインにおける事業再生計画 ― 制度の概要と最初の一歩

経営難に陥ったスペイン子会社をお持ちの外国企業グループの多くは、スペインにおける倒産手続(concurso de acreedores)以外に道はないとお考えになるかもしれません。しかし、スペイン法上はまだ比較的新しい制度でありながら、実務上きわめて有用となりうる手段が見過ごされていることが少なくありません。とりわけ、事業自体は順調に運営されているにもかかわらず、予期せぬ事態や一時的な受注の落ち込みにより、差し迫った支払不能に直面している子会社にとって有用な制度です。

ナバロ・ジマ法律事務所は、スペイン倒産法の分野において豊富な経験を有しております。そこで本稿では、会社が倒産手続に至り、最終的に清算されることを回避しうる手段として、この制度の有用性について若干の解説を行いたいと思います。

事業再生計画とは何か

事業再生計画(plan de reestructuración)とは、財務上の困難に直面している企業が、倒産手続の申立てを行うことなく、その状況を立て直す、すなわち「再構築」するために、スペイン倒産法そのものが用意している手段であるとお考えください。

スペイン倒産法(TRLC)第614条は、これをかなり広く定義しており、債務者の資産および負債の構成、条件もしくは構造、または自己資本の変更を目的とするものを対象とし、資産、事業部門または継続企業としての事業全体の譲渡もこれに含まれます。もっとも、事業再生計画を債権者との単なる交渉から真に区別するのは、計画に署名していない債権者に対しても効力を及ぼしうるという点です。

さらに、手続の期間中も、スペイン子会社は会社の経営権および財産の処分権を保持します。すなわち、経営権が停止され、裁判所の選任する倒産管財人に引き継がれることはありません。

スペインにおいて事業再生手続を開始できるのはどのような場合か

TRLC第584条は、債権者との交渉開始の通知または事業再生計画の裁判所による認可は、債務者が支払不能のおそれ、差し迫った支払不能または現実の支払不能のいずれかの状態にある場合に認められると定めています。

これら三つの状況はいずれも債務者が事業再生計画を利用することを可能にしますが、それぞれが異なる段階に対応し、とりわけ、とりうる選択肢の幅が異なる点に留意する必要があります。

  • 支払不能のおそれ:計画が成立しない場合、今後2年以内に弁済期が到来する債務を通常どおり履行できないことが客観的に予見される場合をいいます。
  • 差し迫った支払不能:今後3か月以内に弁済期が到来する債務を、通常かつ期日どおりに履行できないと見込まれる場合をいいます。
  • 現実の支払不能:弁済期にある債務を、すでに通常どおり履行できない場合をいいます。

したがって、事業再生を利用するために、すでに支払の遅延が生じている必要はありません。むしろ、十分な時間的余裕をもって、たとえば支払不能のおそれの段階で用いる方が、有用性は高く、会社に与える効果もより好ましいものとなることが見込まれます。

ナバロ・ジマ法律事務所は、スペイン子会社の事業再生計画の第一歩をサポートいたします。

交渉開始通知の効果

手続を開始するにあたり、最初の一歩は、管轄のスペイン商事裁判所に対して債権者との交渉開始の通知を行うことです。適式に行われたこの通知は、それ自体ですでに重要な利益をもたらしうるものです。

  • 倒産手続の申立義務が停止され、債権者が申し立てた倒産手続開始の申立ては受理されなくなります。
  • 事業活動の継続に必要な財産に対する執行が停止されます。もっとも、そのためには当該財産の重要性を適切に説明する必要があります。

以上が二つの主要な効果ですが、通知は契約関係にも影響を及ぼしうるものです。たとえば、双方に未履行の債務が残る契約は引き続き効力を有し、この事由を理由として解除することはできません。しかも、これらはすべて、会社が経営権を失わないままに生じます。この点は、親会社およびスペイン子会社の取締役にとって、当然ながら最も関心の高い事項でしょう。

債権のクラスと多数決

交渉を経た計画は、債権者ごとに個別に決議されるのではなく、クラスごとに決議されます。これがスペインの制度における最大の新しさです。債権者は個別に議決権を行使するのではなく、クラスに分類されたうえで議決権を行使します。

TRLC第623条によれば、これらのクラスは、客観的な基準によって判断される共通の利益の存在に基づいて形成されなければならず、倒産手続上の順位が同一の債権相互には、かかる共通の利益が存在するものとされます。もっとも、同順位の債権であっても、金融債権であるか否かなど、それを正当化する理由がある場合には、異なるクラスに分けることができます。

留意すべき3つのルール
  • 物的担保付債権は単一のクラスを構成します。ただし、担保目的物の性質が多様であり、複数のクラスに分けることが正当化される場合は、この限りではありません。
  • 公法上の債権(スペイン税務当局および社会保険当局の債権を含みます)は、常に同順位のクラスの中で別個のクラスを構成します。
  • 債権者が中小企業であり、計画によりその債権額の50パーセントを超える犠牲を強いられる場合には、別個のクラスを構成しなければなりません。

各クラス内での可決には、当該クラスの債権額の3分の2を超える賛成が必要であり、物的担保付債権で構成されるクラスの場合、この割合は4分の3に引き上げられます。

すべてのクラスが計画を可決した場合、裁判所による認可への道は開かれます。もっとも、あるクラスが反対した場合であっても、計画が認可される可能性は残されています。すなわち、クラスの単純多数によって可決され、かつ、そのうち少なくとも一つが倒産手続において優先権を有する債権のクラスである場合、または、継続企業として債務者を評価した場合に何らかの弁済を受けたと合理的に推認される少なくとも一つのクラスによって可決された場合です。これがいわゆるクラス間クラムダウン(反対クラスの拘束)であり、おそらく本制度全体の中で最も強力な手段といえます。

本稿で述べたのは、はるかに複雑な制度の要点にすぎません。クラスの形成と多数決の要件、ならびに計画の裁判所による認可とその効果については、スペインにおける事業再生をテーマとする本シリーズの今後の記事において、より詳しく取り上げてまいります。

当事務所の経験

ナバロ・ジマ法律事務所は、債務者の立場からも債権者の立場からも、企業への助言において豊富な経験を有しており、スペインに子会社を有する国際的な企業グループの案件も数多く取り扱ってまいりました。貴社のスペイン子会社が困難に直面している場合、あるいは今後困難が生じうるとお考えの場合には、できる限り早期に状況を分析することが可能です。すでに述べたとおり、手続の開始が早ければ早いほど、この制度の利点を最大限に活用できる可能性が高まります。

ご不明な点がございましたら、info@navarrollimaabogados.com までお気軽にお問い合わせください。当事務所がいつでもご相談に応じます。

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