非居住者がスペインで不動産を所有する場合の課税について

スペインは長年にわたり、非居住者による不動産取得の有力な投資先として注目されてきました。気候、文化、観光資源といった魅力に加え、経済的・制度的観点からも外国人不動産投資家にとってメリットが存在しています。

もっとも、スペインに所在する不動産を所有する場合、所有者がスペインの税務上の居住者でないとしても、一定の税務義務が課されます。本稿では、非居住者がスペインで不動産を取得した場合に生じる主な課税関係について、概要を解説いたします

1. 取得時の課税

まず、不動産取得の際に課される税金について整理します。課税は当該物件が新築物件**中古物件(2回目以降の譲渡)**かによって異なります。

  1. 新築物件の場合

新築物件の取得は、購入価格に対して**付加価値税(IVA / Value Added Tax10%が課され、さらに公証書に関する税(AJD / Actos Jurídicos Documentados**も課税されます。AJDの税率は自治州により異なります。

:

  • マドリード州:AJD 0.75%
  • カタルーニャ州:AJD 1.5%
  1. 中古物件の場合

中古物件の取得についてはIVAは課されず、代わりに**譲渡税(ITP / Impuesto sobre Transmisiones Patrimoniales**が課されます。税率は自治州により異なります。

:

  • マドリード州:ITP 6%(条件により軽減又は加重あり)
  • カタルーニャ州:ITP 10%〜(累進課税)

また、不動産取得には税金以外にも、公証人費用および登記費用が発生します。購入は公証役場にて公正証書で行われ、取得後は登記所にて所有権の登記手続きが必要となります(住宅ローン契約がある場合は抵当権登記も必要)。

2. 保有中の課税

不動産を実際に使用・保有する段階では、**非居住者所得税(IRNR / Impuesto sobre la Renta de No Residentes**が発生します。課税方法は使用状況により異なります。

1. 自己使用の場合

自己使用で、スペイン滞在期間以外は空室となっている場合、スペイン税制では不動産からの**みなし賃料(imputed income**が課されます。

年間課税所得は、不動産の**固定資産評価額(valor catastral1.1%または2%**とされます(評価額の更新状況により異なる)。

:

200,000ユーロの物件年間課税所得:2,200ユーロ
税率:

  • EU/EEA居住者:19%
  • その他の国の居住者:24%

2. 賃貸運用の場合

賃貸運用されている期間は、賃貸収入が課税対象となります。
賃貸されていない期間については、前項の「みなし賃料」が適用されます。

原則として、非居住者は賃料総額に対して課税されますが、EU/EEA居住者で情報交換協定がある国の居住者については、一定経費の控除が認められます。

例:
月額1,700ユーロ年間賃料収入:20,400ユーロ
税率は前項と同じく19%又は24%、納税は四半期ごと又は年次で申告。

3. 売却時の課税(キャピタルゲイン税)

不動産売却時には、売却価格と取得価格との差額について**譲渡所得(capital gain**が生じます。

取得価格は、一定の改良工事費用等を加算することが認められます。適用法令に基づき計算されます。

3. その他の税金・費用

上記以外にも、非居住者は以下のような地方税・公共料金を負担します:

  • 固定資産税(IBI:税率は各自治体により異なる
  • 地方料金(例:上下水道・ごみ収集等)

スペインにおける不動産投資は魅力が大きい一方、適切に管理しない場合は余分な税負担、延滞金、税務リスクを生じる可能性があります。

当事務所では外国人投資家向けに不動産投資・取得・保有・売却の法務・税務アドバイザリーを提供しております。

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